経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)の有効率

 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)の有効率

有効率(Effectiveness)とは

 ワクチンの有効率(Effectiveness)は、実際の臨床の現場でワクチンを接種することでどのぐらいの感染症が予防できる(減少する)かを示す指標です。有効率(Effectiveness)が50%は、ワクチンを接種したら50%に効くという数ではありません。接種せずに発症した人が接種していれば、50%の人が発症しないという意味の数字です。接種しなかった人が接種していれば、50%は発症を予防できるという意味になります。



 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの有効率

  経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)が初めて国内で承認された2024年から2025年シーズンに検討されたLAIVの有効率(Effectiveness)が公表されました。この調査は、メーカーがおこなった調査であること、論文で公表されているデータように方法などが適切であるか評価されたものでないことなどデータの解釈には注意が必要です。
 生後6か月から18歳の2392例が解析対象でした。インフルエンザワクチン未接種が2368例、LAIV接種が136例でした。PCR検査でインフルエンザ陽性は641例で、陰性が1751例で、インフルエンザA陽性が525例でした。インフルエンザの亜型はA(H1N1)pdm が511例、A/H3N2 が86例、B/Victoria が43 例でした。インフルエンザワクチン未接種ではインフルエンザ陽性が444例、陰性が924例、LAIV接種ではインフルエンザ陽性が24例、陰性が112例でした。これより算出されたLAIVの有効率(Effectiveness)は56%でした。

 図1 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの有効率


【参考]不活化ワクチンの有効率(2024/2025年シーズン)

 不活化インフルエンザワクチン(IIV)の2024/2025年シーズンの有効率(Effectiveness)は生後6か月から15歳の1355例を対象に検討されました。このうちの外来(入院患者ではない)の症例は378例で、不活化ワクチン接種が125例、未接種が253例でした。ワクチン接種のうち27例、未接種の110例がインフルエンザA陽性でした。IIVの有効率は57%でした。 

図2 不活化インフルエンザワクチンの有効性(2024/2025年シーズン)



 上記の経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの有効率と不活化インフルエンザワクチンの有効率の検討は、検討対象、方法などが同一ではないため成績を比較することには注意が必要です。しかし、近年の他の研究成績と比較すると、どちらのワクチンも同程度の有効率が報告されているため、日本でのLAIVとIIVの有効率に大きな差はないと考えられます。