生後12週までのケイツーシロップ投与で頭蓋内出血を確実に予防しよう
母乳栄養とビタミンK欠乏 ビタミンKは血液を固める成分の生成に関わるビタミンです。 ビタミンKは胎盤移行性が悪く(母親のビタミンKが胎盤を通して胎児に移行しにくく)、出生後に摂取量が少ないと容易に欠乏状態になり出血症状が出現する可能性があります。 日本では1989年から 「1. 出生時、2. 生後一週目(産科退院時)、3.1 ヶ月健診受診時」の3回 、ビタミンK2シロップの経口投与が行われています。しかし、2011年に日本小児科学会は 生後12週まで週1回ビタミンKを投与する方法も推奨 しています。 ビタミンKの投与が開始される前の1978年から1980年の調査では、乳児ビタミンK欠乏性出血症は 4000に1人、母乳栄養児に限ると1700人に1人 と高率で、多くが頭蓋内出血を発症し、治療により予後は改善していませんでした。ビタミンKを投与するようになりビタミンK欠乏症は減少しました。 特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症推定罹患数(率)の推移 塙嘉之:周産期医学 22:513, 1992 白幡聡:黎明 24:58,2012 しかし、投与開始後の1999年から2004年に行われた調査でも、乳児ビタミンK欠乏性出血症が報告されています。ビタミンKを3回投与されたにもかかわらず発症した症例の多くは基礎疾患を持った症例でしたが、基礎疾患がない症例も報告されていました。また、2002から2010年に行われたビタミンK欠乏に伴う乳児頭蓋内出血症例の検討でも、基礎疾患の合併がなくビタミンKを3回投与されている症例が含まれていました。(余谷暢之他:日児誌 116:1102,2012) ビタミンK製剤予防投与と特発性乳児ビタミンK欠乏性出血症の報告患者数 白幡聡:黎明 24:58,2012 さらに、ヨーロッパ諸国の調査によると頭蓋内出血の発症が、 日本と同様の3回の投与では出生10万人に対して0.44人でしたが、生後12週まで週1回投与された乳児からは1例もありませんでした。 ビタミンK製剤の予防投与方法別にみた乳児ビタミンK欠乏性出血症の頻度 日本小児科学会「新生児・乳児ビタミンK欠乏性出血症に対するビタミンK製剤投与の改訂ガイドライン(修正版)」 生後1か月以降に母乳栄養が中心のあかちゃんには、よ...