2026年の手足口病の流行

 2026年の手足口病の流行

手足口病は、主に夏に流行するウイルス感染症です。

原因と感染経路

 手足口病はエンテロウイルス71(EV71)、コクサッキーウイルスA6(CA6)、コクサッキーウイルスA16(CA16)などのA群エンテロウイルスが主な原因です。感染経路は、飛沫感染と接触感染です。感染すると、咽頭、水疱の内容液、便からウイルスが排出されます。症状がなくなっても、便からは2~4週間、ウイルスの排出が継続し感染源となります。

流行パターンと今年の流行

 夏に感染者数が増加します。東京都では2026年の第26週(6月22日~28日)に警報基準となる1定点医療機関あたり5例を越えました。図1は2026年6月27日までの過去10年間の全国の定点あたりの報告数です。流行した年は通常7月から8月に流行のピークがあります。2024年はピークを二つ認めましたが、それぞれのピークで流行したウイルス株が異なりました。

図1 全国の手足口病の報告数(2016年~2026年6月27日)
国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ
https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2026/idwr2026-27.pdf

 おもに、2歳未満の小児が感染しますが、成人が感染することもあります。 図2は東京都の2026年第28週(7月6日~7月12日)の定点からの年齢別の報告数です。1歳の報告が最も多く、3歳以上の報告は少なく、低年齢での報告が多くなっています。

図2 東京都の2026年28週(7月6日~12日)の年齢別の報告数
東京都健康安全研究センター
https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/assets/weekly/2026/28.pdf

 1歳の報告が多い理由は、今年は流行しているウイルスがCA6であることが要因です。CA6の手足口病の流行は2011年から認められています。2011年以降、2013年、2015年、2017年、2019年、2021年、2022年、2024年、2026年に流行しています(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/data/summertime-infections/teashinen_240719.gif)。このように2年おきに流行しているために、3歳以上の小児は感染していることが多いため、CA6による手足口病が1歳の報告が多いと考えられます。なお、2024年に2つの流行のピークを認めたのは、6月から7月にはCA6が流行し、9月から10月にはCA16が流行したためです。一度手足口病を発症しても、違うウイルス株が流行すると再度手足口病を発症する可能性があります。

症状

 潜伏期は3日から6日です。口の粘膜、手のひら、足の裏、足の甲などに水疱性発疹が出現します。肘、膝、肛門のまわりにも発疹を認めることもあります。発熱は1から2日で解熱します。しかし、5日以上持続することもあります。重症化まれですが、髄膜炎、脳炎や心筋炎を合併することもあります。
 CA6の感染による手足口病は、他のウイルスによる手足口病の症状と少し異なります。高熱(39度以上)を認めることがあり、持続は1から2日のことが多く、解熱後(解熱傾向を認めると)発疹が顕著となります。発疹も手のひらや足底よりも上腕や大腿に多く認め、口の周りやからだにも発疹を認めることがあります。発疹も大きな水疱を認めることが多く、かさぶたになることがあります。

治療と予防

 原因がウイルスのために抗菌薬は無効で、特異的な治療方法はありません。発熱や痛みに対しては、解熱鎮痛薬を投与します。皮膚や口腔内へのステロイド塗布薬は通常使用しません。脱水にならないようにしながら、安静を保ちます。解熱し、食欲が戻れば、発疹があっても通園登校は差し支えありません。
 また、日本にはワクチンなど特異的な予防法はないため、感染拡大予防には排便後、おむつ交換後の手洗いの励行が重要です。中国、台湾では4種類のEV71用のワクチンの使用が開始されています。