HPVワクチンの早期接種の重要性 ①
HPVワクチン の早期接種の重要性 ①
2026年7月25日公開

HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、非常に有効性が高いワクチンですが、すでに感染してしまったHPVの遺伝子型に対しては予防効果、治療効果はないため、最大の効果を期待するにはHPVが感染する前(初交前)に接種する必要があります。現在の日本の定期接種は、小学校6年生からのため、ワクチンの効果を確実にするために小学校6年生での接種をお勧めします。
1. 臨床試験の成績
HPV既感染者に対するワクチンの効果は低い
感染歴がない例に対する有効性は98%でしたが、すでに感染歴がある症例も含めた例に対する有効性は44%でした。
Quadrivalent Vaccine against Human Papillomavirus to Prevent High-Grade Cervical Lesions
(New Engl J Med 2007;356:1915-27)
図1 遺伝子型(HPV16、18)の高度子宮病変に対するHPV4の有効性
4価HPVワクチン(HPV4:ガーダシル)の無作為化二重盲検試験は、15歳から26歳の約12,000例の女性を対象に有効性と安全性が評価されました。妊娠検査が陰性の後に、無作為にワクチンを接種する群とプラセボを投与する群に割り振られ、0,2,6か月目にそれぞれが投与されました。初回投与前に子宮頸部細胞診の検体とHPV DNA検査のための検体が採取されました。その後、3回目の接種から1ヶ月後と6ヶ月後、および24ヶ月後、36ヶ月後、48ヶ月後に診察と検査が予定されました。グレード 2 または 3以上 の重症度を持つ子宮頸部上皮内腫瘍の被験者は、根治的治療のために専門医療機関を紹介されました。
HPV4の有効性は、接種前にHPV16、18に対する抗体が陰性で、さらにHPV16、18のDNA検査が陰性の、HPV16、18に未感染の集団に対して、ワクチン接種がHPV16またはHPV18に関連する高度子宮頸部上皮内腫瘍の発生率を低下させる割合で評価されました。この集団でのHPV16、HPV18の高度子宮病変の予防に対する有効率は98%でした。ワクチン群では1例の高度子宮病変が発症しました。この症例は、接種前の検査でHPV16とHPV18は陰性でしたが、HPV52が陽性でした。接種後の検査で、HPV52はすべて陽性でしたが、HPV16は1回だけ陽性でした。また、既感染者を含む集団でのHPV16、HPV18の高度子宮病変の予防に対する有効率は44%でした(図1)。HPVワクチンは、HPVに未感染のうちにワクチン接種することが重要です。
2.免疫原性の検討
接種年齢が若い方が誘導される抗体価が高い
接種した年齢が低い方が誘導された抗体価が高い可能性があります。
9価HPVワクチン(HPV9:シルガード9)の2回接種の免疫原性の検討が、2013年から2017年に15カ国で行われました。HPV4の臨床試験で3回接種後の高度子宮病変の予防に対する有効性が評価された15から26歳の3回接種後の免疫原性に比較し、9から14歳の2回接種後の免疫原性の非劣性(低くないか)が検討されました。
9から14歳の2回接種後1か月のHPV9に含まれる遺伝子型に対する抗体価は、15から26歳の3回接種後1か月後の抗体価よりすべて高値でした(図2)。
また、接種後30か月までの抗体価を9から14歳の2回接種と15から26歳の3回接種を比較すると、ほとんどの血清型(HPV45,HPV52を除く)で高値が持続していました(図3)。
図3 HPV9接種年齢群別の免疫原性の推移
さらに、9歳から14歳を、9から10歳、11から12歳、13から14歳にわけて免疫原性を検討したところ、2回接種後1ヶ月目の抗体価は年齢の低い群でやや高値でした(図4)。
3.HPVワクチンによる浸潤性子宮頸がんの減少
HPVワクチン接種の目標は、主要な発がん性HPV型の感染を予防することで、浸潤性子宮頸がんなどHPVが原因のがんを予防することです。HPVワクチンの承認前の臨床試験、承認後の実臨床の場での観察研究などの有効性の評価は、ワクチンがHPV感染、性器疣贅、および高度前癌性子宮頸部病変を予防すると示されています。さらに、実臨床の場で浸潤性子宮頸がんに対する有効性も報告されています。「HPVワクチン の早期接種の重要性②」で詳細を記載します。