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2026年のインフルエンザの状況(10月11日までの情報)

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 今シーズンのインフルエンザの状況 (2026年10月11日までの報告例) インフルエンザA(H1N1)pdm09が流行し、小児の重症例が報告されています。  インフルエンザは流行時期に合わせ、第36週(8月末~9月初旬)から翌年の第35週までの1年間をインフルエンザシーズンとされています。2026/2027年シーズンは2026年8月31日から2027年9月5日までです。 今シーズンの流行株  インフルエンザワクチンにはインフルエンザA(H1N1)pdm09、インフルエンザA(H3N2)、インフルエンザB(ビクトリア系統)の3種類の株が含まれています。(3種類の株がワクチンに含まれているため、インフルエンザに1回感染してもそのシーズンのワクチンの接種が推奨される理由です)。  2025年/2026年シーズンは、前半はインフルエンザA(H3N2)(サブクレードK)が流行し、後半はインフルエンザBが流行しましたが、今シーズンは検出されているウイルスはほとんどインフルエンザA(H1N1)pdm09です(図1)。  図1 週別のインフルエンザ分離株の割合 (2026年26週~ 地方衛生研究所からの登録 2026年10月17日参照) 定点あたりの報告数と入院数  インフルエンザは、全国約3,000カ所の急性呼吸器感染症(ARI)定点医療機関(小児科定点約2,000カ所、内科定点約1,000カ所)から報告されています。2026年は26週から徐々に報告数が増加し、34週(8月17日~23日)に1.11となり、流行開始となる1.0を越えました。 その後も増加し、9月の連休(39週)で一時減少しましたが、40週(9月28日~10月4日)に11.35となり、注意報レベルの10を超えました(警報レベルは定点あたり30です)(図2)。  インフルエンザによる入院は全国約500カ所の基幹定点医療機関から報告されています。入院数も徐々に増加し、41週には1123例の入院例が報告されました。26週から41週までの入院数は4122例で、年齢別の入院割合は、80歳以上が38.7%、10歳未満が37.0%と多くなっています。(図3)。2025年/2026年シーズンの年齢別の入院割合と比べて、10歳未満(20.1%)の割合は高くなっています。 図2 インフルエンザ定点あたりの報告数と年...

小児のインフルエンザ 2026年9月更新

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   小児のインフルエンザ(2026年9月改訂)  インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型、D型の4種類がありますが 、人に季節性流行を引き起こすのはA型とB型インフルエンザウイルスだけです。 A型インフルエンザウイルスは最も重篤な臨床疾患を引き起こし、ヒト集団における季節性流行やパンデミックの最も一般的な原因です。 症状と合併症(図1)  インフルエンザウイルスに感染した場合は、無症状のことや軽微な症状のこともありますが、重篤な合併症のために死亡することもあります。通常、突然始まる発熱、筋肉痛、頭痛、倦怠感、空咳、咽頭痛、鼻づまりなどの症状を特徴とします。吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸症状も小児ではよく見られます。また、結膜炎や眼痛を認めることもあります。インフルエンザの潜伏期(感染から症状発現までの期間)は1~4日、平均2日です。ウイルスは通常、症状発現の1日前から5~7日後まで排出されます。   多くの人は数日から2週間で症状が改善します。しかし、経過中に種々の合併症が出現し、生命を脅かされることもあります。  呼吸器合併症は小児から高齢者まで生じることがあります。小児では、クループ、気管支炎、中耳炎が起こることがあります。全年齢において、一次性インフルエンザウイルス性肺炎と二次性細菌性肺炎を起こすことがあり、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などを起こす可能性があります。  神経合併症には、脳症、脳炎、横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎が報告されており、成人よりも小児に多く見られます。乳幼児は熱性けいれんを起こすことがあります。一過性の意識低下や完全に回復することもありますが、後遺症を残したり脳死を伴う劇症急性壊死性脳炎が発生することもあります。 BMJ 2016;355:i6258 doi: 10.1136/bmj.i6258 図1 インフルエンザの症状と合併症  今シーズン(2026/27シーズン)は、8月末に流行期が宣言され、インフルエンザAウイルスが検出されています。しかし、昨シーズンとは違い検出されているのは、現在A/H1N1pdm09 亜型ウイルスです。このウイルスは2009年に新型インフルエンザウイルスによるパンデミックを起こしたウイルスです。2009年から2010年は、小児が流行の中心で、重症の肺炎や脳症の...

2026/2027年シーズンの流行株とインフルエンザワクチン株

 2026/2027年シーズンの流行株とインフルエンザワクチン株 2026/2027年シーズンのインフルエンザの流行株  昨シーズン(2025/26シーズン)は、2025年9 月以降、A/H3N2 亜型ウイルスHA 遺伝子系統樹上、サブクレードK のウイルスが多く検出されました。2026年1月からはB/ビクトリア系統のウイルスが検出されました。( 2025年/26年シーズンに流行したサブクレードKに対する有効性 )  今シーズン(2026/27シーズン)は、8月末に流行期が宣言され、インフルエンザAウイルスが検出されています。しかし、昨シーズンとは違い検出されているのは、現在A/H1N1pdm09 亜型ウイルスです。このウイルスは2009年に新型インフルエンザウイルスによるパンデミックを起こしたウイルスです。2009年から2010年は、小児が流行の中心で、重症の肺炎や脳症のために集中治療を必要とした小児が多く報告されました。 2026/27シーズンのインフルエンザワクチン株 インフルエンザワクチンの株は、世界保健機関(WHO)が1年に2回、北半球と南半球に対する推奨株を公表します。WHOの北半球推奨株を基に、国内の国立感染症研究所と厚生労働省が検討して決定します。(フルミストは製造メーカーがWHOの推奨株からワクチン株を選定し、各国の承認を受けています) 鶏卵培養不活化ワクチン A/スイス/6849/2025(H1N1) A/ミシガン/105/2025(H3N2) B/東京/EIS13-175/2025(ビクトリア系統) 弱毒生ワクチン:フルミスト A/スイス/6849/2025(H1N1) A/ダーウィン/1369/2025(H3N2) B/パース/115/2025(ビクトリア系統) 2シ-ズン前の2024/2025年シーズンにはA/H1N1pdm09 亜型ウイルスが多く検出されました。クレード5a.2aのサブクレードC.1.9.3のウイルスが流行していました。しかし、今シーズンは5a.2a.1クレードから派生したサブクレードD.3.1およびD.3.1.1が検出されています。2024/2025年シーズンにインフルエンザAに罹患しても今シーズン流行しているウイルスに全く免疫がないわけではありませんが、2年経過し免疫が低下している可能性があること、ウイルスの変...

2025年/26年シーズンに流行したサブクレードKに対する流行性

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 2025年/26年シーズンに流行したサブクレードKに対する有効性  季節性インフルエンザワクチンの有効性(Effectiveness)は、季節、ワクチンと流行ウイルスとの抗原類似性、患者の年齢などによって変動します。2025-26年シーズンは当初はインフルエンザA型(H3N2)が流行し、2026年にはB型が流行しました。インフルエンザA(H3N2)は抗原的に変異したサブクレードKウイルスによるもので、2025年9月のWHOの報告では、ワクチンの有効性が低い可能性があると指摘されました。しかし、英国の初期の報告で、サブクレードKが大部分のA(H3N2)による有効性が示されました。 英国の2025/26年シーズンのフルミストの有効性  英国では2~17歳に対しては弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)が推奨され、不活化ワクチンはフルミストができない人だけに接種されます。シーズン初めに検出されたインフルエンザAH3ウイルスの87%がサブクレードKと報告されています。2~17歳の救急外来での有効性は74.7%、入院での有効性は72.8%でした。 表1 2025/26シーズンのAH3に対するEffectiveness (英国 2025/9/27~11/2) 日本の2025/26年シーズンのインフルエンザワクチンの有効性  日本の生後6か月から15歳を対象に行われたインフルエンザAに対する検討では、不活化ワクチンのEffectivenessは43%、弱毒生ワクチンの有効性は81%でした。弱毒生ワクチンの有効性が高い傾向は認めましたが、統計学的には有意ではありませんでした。日本でも、流行したインフルエンザAウイルスはサブクレードKでした。なお、インフルエンザBに対しては,どちらのワクチンも有意な有効性を示しませんでした。 表2 2025/26シーズンのインフルエンザAに対するEffectiveness (2025/11~2026/3/15 生後6か月~15歳) 2026~2027年シーズンのインフルエンザワクチンの予約 フルミストの予約 2026年インフルエンザの流行

経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト) 2026年

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経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)  鼻へ噴霧するタイプのインフルエンザワクチンです。日本では今まで承認されておらず、一部の医療機関で個人輸入した海外のワクチンが使用されていました。2024シーズンから日本で正式に承認されたために正規のワクチンが使用できるようになりました。販売量は増加するようですが、入荷量には制限があり、上限に達すると予約できなくなります。今年のフルミスト(LAIV)はインフルエンザAH1、AH3、B型(ビクトリア系統)の3種類のウイルスに対応しています。いずれのワクチン株も変更されており、今シーズンは新しいワクチン株が使用されています。投与された弱毒ウイルスは鼻で増殖し免疫を誘導しますが、肺などでは増殖せず安全性が確保されています。 接種対象者 2~18歳 接種禁忌 妊婦、免疫不全者、免疫不全となる薬物の投与を受けている人 接種回数  1回 投与方法  ワクチンを両方の鼻に少量(0.1ml))ずつ投与します。接種直後にくしゃみが出ても、再投与はしないことになっています。 フルミストの有効性  海外で行われたフルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン:LAIV)の臨床試験では、不活化インフルエンザワクチン(IIV)の有効性に勝るデータが報告されたため、非常に期待され発売されました。  米国では2003年に発売され、2009年以前に報告された3価のLAIVがIIVより有効性が高いというデータから、2014年に2から8歳に対して4価のLAIVをIIVより優先して接種することを推奨しました。しかし、2013-14年シーズンにAH1N1pmd09に対してLAIVは有意な有効性を示さず、IIVは有意な有効性を示したため、2015年にLAIVを優先する推奨を撤回しました。さらに2015-16年シーズンにもAH1N1pmd09に対してLAIVの有効性が低かったため、2016-17年シーズにはLAIVの接種の推奨を中止しました(2017-18年シーズンも推奨しませんでした)。2017年にLAIVに含まれるAH1N1pmd09のウイルス株がA/California/7/2009からA/Slovenia/2903/2015に変更され後に、米国では2018-19年シーズンからLAIVを再推奨しました。しかし、現在では、以前のようにIIVより優先的に...

2026年インフルエンザの流行

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   インフルエンザの流行の開始と流行のピークが早くなっています   COVID-19が減少した後から、インフルエンザの流行が早期に始まり、ピークも12月になっています。インフルエンザワクチンの接種を早期に行うことをお勧めします。  インフルエンザは夏にかかることもありますが、毎年、冬に患者数が増加します。インフルエンザの患者数は、全国の約5000のインフルエンザ定点医療機関から報告されています。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前のインフルエンザは11月に流行が始まり、1月末(4~5週)にピークがありました(図1 図2)。  COVID-19の流行後は、インフルエンザの大きな流行はありませんでした。しかし、COVID-19が減少した後、2022/2023年シーズンからインフルエンザの感染数が増加しました。2023/2024年シーズンは9月から報告数が増加し、流行のピークは12月初め(49週)でした。2024/25年シーズンも10月末(44週)に流行がはじまり、ピークは12月末(52週)でした。2025/26年シーズンは9月末(39週)に流行がはじまり、ピークは11月中旬(47週)でした。今シーズン(2026/27)は8月中旬(34週)に流行が始まっています。(図1 図2)。 すでに、インフルエンザ脳炎などの重症例も報告されています。 https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2026/idwr2026-33.pdf https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2026/idwr2026-31-32.pdf   図1 2016~2026年のインフルエンザの報告数 図2 2014/15シーズン~2024/25シーズンのインフルエンザの流行開始とピーク 2026~2027年シーズンのインフルエンザワクチンの予約

HPVワクチン の早期接種の重要性 ②

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  HPVワクチン の早期接種の重要性 ②  浸潤性子宮頸がんに対する早期接種の効果    子宮がんは子宮の入り口(子宮頸部)にできるがんで、ほとんどはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が原因です。  最近の研究から、接種開始年齢が若いほど、浸潤性子宮頸がんリスクの予防効果が大幅に高いことが判明しました。これは、HPVワクチンには、すでに感染に対する治療効果がなく、性交渉を介したHPV曝露前に接種することで最大の利益をもたらします。 子宮頸がんとHPVワクチン  HPVは200種類以上の遺伝子型がありますが、このうちの約13種類の高リスク型HPVが子宮頸がんの原因となります。HPVは性的接触で生じた小さな傷から侵入し子宮頸部上皮の最下層にある基底細胞に感染します。女性の80~90%が生涯に一度はHPVに感染し、男性も同様で、HPVはありふれたウイルスです。HPVに感染しても、通常無症状です。感染した女性の多くではHPVは消退しますが、ごく一部の人が持続感染を起こし、子宮頸がんに進展する場合があります。  HPVの感染した基底細胞が、表皮形成の分化を始めるとウイルスが増殖し、正常細胞と形や大きさが異なる異型細胞となります。まず軽度異形成(CIN1)が生します。HPV感染が持続すると異型細胞が上皮層の基底膜から1/3以上に達し、中等度異形成(CIN2)となり、さらに2/3以上を占めるようになると高度異形成(CIN3)となり、上皮の一番外側まで異形細胞が増殖すると上皮内がんとなります。基底膜を越えて浸潤すると、浸潤がんに進行します(図1)。高度異形成と上皮内がんは浸潤がんへ進行するリスクが高くなります。 図1 HPVと子宮頸がん(扁平上皮がん)の進展  高リスク型HPVの持続感染が一定期間(少なくとも6か月以上)続くと、子宮頸がんの前がん病変となるリスクが高いとされています。なお、子宮頸部病変の進展は一方向的ではなく、退縮することもあります。このように子宮頸がんの発症には、CIN病変が進展・退縮するため、感染後数年から数十年が必要と考えられています。また感染したHPVの遺伝子型によっても、子宮頸がんの発症リスク、発症までの期間が異なります。さらに、喫煙、経口避妊薬の摂取、出産回数、性交渉パートナー数なども関与すると考えられています。  G7諸国は子宮頸がんの罹...

HPVワクチンの早期接種の重要性 ①

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 HPVワクチン の早期接種の重要性 ① 2026年7月25日公開  HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンは、非常に有効性が高いワクチンですが、すでに感染してしまったHPVの遺伝子型に対しては予防効果、治療効果はないため、最大の効果を期待するにはHPVが感染する前(初交前)に接種する必要があります。現在の日本の定期接種は、小学校6年生からのため、ワクチンの効果を確実にするために小学校6年生での接種をお勧めします。 1. 臨床試験の成績  HPV既感染者に対するワクチンの効果は低い  感染歴がない例に対する有効性は98%でしたが、すでに感染歴がある症例も含めた例に対する有効性は44%でした。 Quadrivalent Vaccine against Human Papillomavirus  to Prevent High-Grade Cervical Lesions   (New Engl J Med 2007;356:1915-27) 図1 遺伝子型(HPV16、18)の高度子宮病変に対するHPV4の有効性  4価HPVワクチン(HPV4:ガーダシル)の無作為化二重盲検試験は、15歳から26歳の約12,000例の女性を対象に有効性と安全性が評価されました。妊娠検査が陰性の後に、無作為にワクチンを接種する群とプラセボを投与する群に割り振られ、0,2,6か月目にそれぞれが投与されました。初回投与前に子宮頸部細胞診の検体とHPV DNA検査のための検体が採取されました。その後、3回目の接種から1ヶ月後と6ヶ月後、および24ヶ月後、36ヶ月後、48ヶ月後に診察と検査が予定されました。グレード 2 または 3以上 の重症度を持つ子宮頸部上皮内腫瘍の被験者は、根治的治療のために専門医療機関を紹介されました。  HPV4の有効性は、接種前にHPV16、18に対する抗体が陰性で、さらにHPV16、18のDNA検査が陰性の、HPV16、18に未感染の集団に対して、ワクチン接種がHPV16またはHPV18に関連する高度子宮頸部上皮内腫瘍の発生率を低下させる割合で評価されました。この集団でのHPV16、HPV18の高度子宮病変の予防に対する有効率は98%でした。ワクチン群では1例の高度子宮病変が発症しました。この症例は、接種前の検査でHPV16...

2026年の手足口病の流行

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 2026年の手足口病の流行 手足口病は、主に夏に流行するウイルス感染症です。 原因と感染経路  手足口病はエンテロウイルス71(EV71)、コクサッキーウイルスA6(CA6)、コクサッキーウイルスA16(CA16)などのA群エンテロウイルスが主な原因です。感染経路は、飛沫感染と接触感染です。感染すると、咽頭、水疱の内容液、便からウイルスが排出されます。症状がなくなっても、便からは2~4週間、ウイルスの排出が継続し感染源となります。 流行パターンと今年の流行  夏に感染者数が増加します。東京都では2026年の第26週(6月22日~28日)に警報基準となる1定点医療機関あたり5例を越えました。図1は2026年6月27日までの過去10年間の全国の定点あたりの報告数です。流行した年は通常7月から8月に流行のピークがあります。2024年はピークを二つ認めましたが、それぞれのピークで流行したウイルス株が異なりました。 図1 全国の手足口病の報告数(2016年~2026年6月27日) 国立健康危機管理研究機構 感染症情報提供サイトホームページ https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/idwr/idwr/2026/idwr2026-27.pdf  おもに、2歳未満の小児が感染しますが、成人が感染することもあります。 図2は東京都の2026年第28週(7月6日~7月12日)の定点からの年齢別の報告数です。1歳の報告が最も多く、3歳以上の報告は少なく、低年齢での報告が多くなっています。 図2 東京都の2026年28週(7月6日~12日)の年齢別の報告数 東京都健康安全研究センター https://idsc.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/assets/weekly/2026/28.pdf  1歳の報告が多い理由は、今年は流行しているウイルスがCA6であることが要因です。CA6の手足口病の流行は2011年から認められています。2011年以降、2013年、2015年、2017年、2019年、2021年、2022年、2024年、2026年に流行しています(https://id-info.jihs.go.jp/surveillance/iasr/data/summertime-infections/teashinen_24071...

経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)の有効率

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 経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)の有効率 有効率(Effectiveness)とは  ワクチンの有効率(Effectiveness)は、実際の臨床の現場でワクチンを接種することでどのぐらいの感染症が予防できる(減少する)かを示す指標です。有効率(Effectiveness)が50%は、ワクチンを接種したら50%に効くという数ではありません。接種せずに発症した人が接種していれば、50%の人が発症しないという意味の数字です。接種しなかった人が接種していれば、50%は発症を予防できるという意味になります。  経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの有効率   経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(LAIV)が初めて国内で承認された2024年から2025年シーズンに検討されたLAIVの有効率(Effectiveness)が公表されました。この調査は、メーカーがおこなった調査であること、論文で公表されているデータように方法などが適切であるか評価されたものでないことなどデータの解釈には注意が必要です。  生後6か月から18歳の2392例が解析対象でした。インフルエンザワクチン未接種が2368例、LAIV接種が136例でした。PCR検査でインフルエンザ陽性は641例で、陰性が1751例で、インフルエンザA陽性が525例でした。インフルエンザの亜型はA(H1N1)pdm が511例、A/H3N2 が86例、B/Victoria が43 例でした。インフルエンザワクチン未接種ではインフルエンザ陽性が444例、陰性が924例、LAIV接種ではインフルエンザ陽性が24例、陰性が112例でした。これより算出されたLAIVの有効率(Effectiveness)は56%でした。  図1 経鼻弱毒生インフルエンザワクチンの有効率 【参考]不活化ワクチンの有効率(2024/2025年シーズン)  不活化インフルエンザワクチン(IIV)の2024/2025年シーズンの有効率(Effectiveness)は生後6か月から15歳の1355例を対象に検討されました。このうちの外来(入院患者ではない)の症例は378例で、不活化ワクチン接種が125例、未接種が253例でした。ワクチン接種のうち27例、未接種の110例がインフルエンザA陽性でした。IIVの有効率は57...

小児のインフルエンザ

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  小児のインフルエンザ  インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型、D型の4種類がありますが 、人に季節性流行を引き起こすのはA型とB型インフルエンザウイルスだけです。 A型インフルエンザウイルスは最も重篤な臨床疾患を引き起こし、ヒト集団における季節性流行やパンデミックの最も一般的な原因です。 症状と合併症(図1)  インフルエンザウイルスに感染した場合は、無症状のことや軽微な症状のこともありますが、重篤な合併症のために死亡することもあります。通常、突然始まる発熱、筋肉痛、頭痛、倦怠感、空咳、咽頭痛、鼻づまりなどの症状を特徴とします。吐き気、嘔吐、下痢などの胃腸症状も小児ではよく見られます。また、結膜炎や眼痛を認めることもあります。インフルエンザの潜伏期(感染から症状発現までの期間)は1~4日、平均2日です。ウイルスは通常、症状発現の1日前から5~7日後まで排出されます。   多くの人は数日から2週間で症状が改善します。しかし、経過中に種々の合併症が出現し、生命を脅かされることもあります。  呼吸器合併症は小児から高齢者まで生じることがあります。小児では、クループ、気管支炎、中耳炎が起こることがあります。全年齢において、一次性インフルエンザウイルス性肺炎と二次性細菌性肺炎を起こすことがあり、呼吸不全、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などを起こす可能性があります。  神経合併症には、脳症、脳炎、横断性脊髄炎、急性散在性脳脊髄炎が報告されており、成人よりも小児に多く見られます。幼児に熱性けいれんを引き起こすことがあります。一過性の意識低下や完全に回復することもありますが、後遺症を残したり脳死を伴う劇症急性壊死性脳炎が発生することもあります。 BMJ 2016;355:i6258 doi: 10.1136/bmj.i6258 図1 インフルエンザの症状と合併症 小児のインフルエンザ定点からの報告数(図2)  日本ではインフルエンザの流行状況を把握するために、約5000のインフルエンザ定点医療機関からの報告がまめられ、毎週公表されています。2023年は約231万例が定点から報告されました。このうち、5歳から9歳が最も多く78万例で、15歳未満の小児は168万人、73%でした。インフルエンザウイルスは、小児の呼吸器疾患の重要な原因です。 図2 年齢群別の...

フルミスト(2025年)

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  経鼻弱毒生インフルエンザワクチン(フルミスト)  鼻へ噴霧するタイプのインフルエンザワクチンです。日本では今まで承認されておらず、一部の医療機関で個人輸入した海外のワクチンが使用されていました。2024シーズンから日本で正式に承認されたために正規のワクチンが使用できるようになりました。2025年~2026年シーズンは販売量は増加するようですが、入荷量には制限があり、上限に達すると予約できなくなります。今年のフルミスト(LAIV)はインフルエンザAH1、AH3、B型(ビクトリア系統)の3種類のウイルスに対応しています。投与された弱毒ウイルスは鼻で増殖し免疫を誘導しますが、肺などでは増殖せず安全性が確保されています。 接種対象者 2~18歳 接種禁忌 妊婦、免疫不全者、免疫不全となる薬物の投与を受けている人 接種回数  1回 投与方法  ワクチンを両方の鼻に少量(0.1ml))ずつ投与します。接種直後にくしゃみが出ても、再投与はしないことになっています。 フルミストの有効性  海外で行われたフルミスト(経鼻弱毒生インフルエンザワクチン:LAIV)の臨床試験では、不活化インフルエンザワクチン(IIV)の有効性に勝るデータが報告されたため、非常に期待され発売されました。  米国では2003年に発売され、2009年以前に報告された3価のLAIVがIIVより有効性が高いというデータから、2014年に2から8歳に対して4価のLAIVをIIVより優先して接種することを推奨しました。しかし、2013-14年シーズンにAH1N1pmd09に対してLAIVは有意な有効性を示さず、IIVは有意な有効性を示したため、2015年にLAIVを優先する推奨を撤回しました。さらに2015-16年シーズンにもAH1N1pmd09に対してLAIVの有効性が低かったため、2016-17年シーズにはLAIVの接種の推奨を中止しました(2017-18年シーズンも推奨しませんでした)。2017年にLAIVに含まれるAH1N1pmd09のウイルス株がA/California/7/2009からA/Slovenia/2903/2015に変更され後に、米国では2018-19年シーズンからLAIVを再推奨しました。しかし、現在まで以前のようにIIVより優先的にLAIVを接種することを推奨はしていませ...

2025/2026のインフルエンザ コロナ後のインフルエンザの早期流行

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 インフルエンザの流行の開始と流行のピークが早くなっています   COVID-19が減少した後の2年間は、インフルエンザの流行が早期に始まり、ピークも12月になっています。インフルエンザワクチンの接種を早期に行うことをお勧めします。  インフルエンザは夏にかかることもありますが、毎年、冬に患者数が増加します。インフルエンザの患者数は、全国の約5000のインフルエンザ定点医療機関から報告されています。  新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行前のインフルエンザは11月に流行が始まり、1月末(4~5週)にピークがありました(図1 図2)。  COVID-19の流行後は、インフルエンザの大きな流行はありませんでした。しかし、COVID-19が減少した後、2022/2023年シーズンからインフルエンザの感染数が増加しました。2023/2024年シーズンは9月から報告数が増加し、流行のピークは12月初め(49週)でした。2024/25年シーズンも10月末(44週)に流行がはじまり、ピークは12月末(52週)でした(図1 図2)。   図1 2015~2025年のインフルエンザの報告数 インフルエンザは11月に流行が始まり、1月末(4~5週)にピークがありましたが、COVID-19の流行収束後はインフルエンザの流行開始、ピークともに早くなっています。 図2 2014/15シーズン~2024/25シーズンのインフルエンザの流行開始とピーク 2025~2026年シーズンのインフルエンザワクチンの予約

HPVワクチンの安全性

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 HPVワクチンの安全性 積極的勧奨の中止とその再開の経緯  日本では2009年に2価HPVワクチン(HPV2:サーバリックス)、2011年に4価HPVワクチン(HPV4:ガーダシル)が承認されました。2010年から地方自治体の公費助成での接種が始まり、2013年4月に予防接種法に基づく定期接種になりました。しかし、接種後の広範な疼痛や運動障害などがメディアで報道されたのを契機に、2か月後の 2013年6月に厚生労働省は「国民に適切な情報提供ができるまで」積極的勧奨の中止を勧告しました 。  海外では世界保健機関(WHO)も含めて、HPVワクチンの安全性に問題が無いことが確認されています。また、日本でも接種後の諸症状がワクチン接種との関連が無いことが確認されました。さらに、 接種後に生じた諸症状の診療に係わる医療体制も構築されました 。この状況に基づき、積極的勧奨の中止後8年以上が経過した 2021年11月26日に厚生労働省から積極的勧奨の再開が通知され 、2022年4月から勧奨が再開されています。 ワクチンの安全性はどのように評価すべきか  予防接種後に起きたすべての好ましくない、意図しない症状は「有害事象」と呼ばれます。WHOは「有害事象」の原因を、5項目に分類しています。ワクチン接種後に起きた「有害事象」にはワクチンが原因ではないことも含まれています。これらのうちワクチンが実際に原因である「副反応」は①と②です。(図1) 図1 ワクチンの「有害事象」と「副反応」  「有害事象」がワクチンが原因の「副反応」か否かの判断は、通常は容易ではありません。「有害事象」が接種をした人だけに起きているか、接種をしていない人に比べ接種した人に多く発生していることを証明して、はじめて「有害事象」が「副反応」であると判断できます。  日本の「予防接種後副反応疑い報告」は、報告者の自発的な報告に依存する「受動的な」監視システムで、「有害事象」を収集するシステムです。しかし、接種していない人のデータを利用し、科学的に「有害事象」が「副反応」か否かを迅速に評価できる、より「能動的な」モニタリングシステムが存在しません。「有害事象」を収集するシステムのデータだけを利用し、予防接種の推奨の変更を行うことは、今回のHPVワクチンの積極的勧奨の中止のように誤った判断に到達する可能性があ...

百日咳

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 百日咳 典型的な咳の症状が始まった後では、抗菌薬の効果が乏しく、耐性菌も増加しており、発症を予防するにはワクチンの接種が重要です。 ワクチンの効果は数年で低下するため、追加接種が重要です。  百日咳は百日咳菌(Bordetella pertussis)の感染で発症します。パラ百日咳菌(Bordetella parapertussis)などの類縁菌も同様の症状を起こします。多くは飛沫感染で感染します。感染力は非常に強く、潜伏期は7~10日(最長21日)で、典型的な症状は、3つの段階に分けられます。発熱は通常ありません。 症状 カタル期(1~2週間)  かぜ症状で始まり、次第に咳が激しくなります。 痙咳期(2-3週間持続)  発作性の咳(痙咳)がおきます。息継ぎのない連続的な短い発作性の咳(スタッカート)が特徴です。息を吐ききった後に狭くなった声門から必死に息を吸おうとすることで生じる特徴的なヒューヒューという音が続くことがあります(笛声:whoop)。咳嗽発作をくり返し(レプリーゼ)、チアノーゼが起こり、続いて嘔吐することがあります。発作は、食べること、笑うこと、泣くこと、その他さまざまな刺激によって引き起こされる可能性があり、通常は夜間に悪化します。  乳児は咳発作などの典型的な症状を認めず、無呼吸、痙攣、呼吸停止。肺炎、脳症、肺高血圧を合併し、死亡することもあります。 回復期  非発作性の咳は数週間続くことがあり、ウイルス感染の併発により発作が再発することがあり、咳が長期に継続することがあります。 思春期・成人の百日咳  成人でも咳が持続し、典型的な咳発作を認めることもあります。基礎疾患がある感染者の死亡も報告されています。しかし、多くは典型的な発作性の症状を示しません。軽症例では診断されれずに、百日咳菌を排出するために新生児、乳児に対する感染源となることに注意が必要です。 治療  抗菌薬を投与します。以前より、マクロライド系の抗菌薬が第一選択薬として使用されてきました。カタル期に開始すると、症状が軽減できる可能性があります。痙咳期に開始した場合は、症状の改善に影響しないかもしれませんが、百日咳菌の伝播を抑えられる可能性があり、投与が推奨されています。他の治療法は科学的に有用である証拠があるものはありません。症状、重症度に合わせて治療が選択されます。 ...

妊娠中の三種混合ワクチン

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乳児期の重症百日咳 妊娠中の三種混合ワクチン 妊娠中の三種混合ワクチンの接種が、新生児早期乳児の百日咳を予防する最良の方法です。 妊娠中のワクチン接種  日本の妊娠中の女性の百日咳に対する抗体は低い場合が多いと報告されています。妊娠中にワクチン接種を行うことで母体の抗体価が上昇し、胎盤を介して胎児へ移行する抗体が増加し、出産児の抗体価も上昇します。出生後には抗体価が低下しますが、ワクチンが接種可能となる生後2か月までの百日咳の発症の予防に有効です。   世界保健機関(WHO)は、「百日咳ワクチンの最も重要な目的は乳児の重症百日咳を予防すること」としています。百日予防の国際会議(Global Pertussis Initiative)では、新生児乳児期早期の百日咳予防に対して、妊娠中のワクチン接種が最良の方法であるとしています(図1)。 図1 新生児期乳児期早期の百日咳の予防(Global Pertussis Initiative)  日本の厚生労働省の会議で,乳児百日咳予防の方法が検討されています。その際の資料にも乳児周囲のワクチン接種より、妊娠中のワクチン接種が最も有効なことが示されています(図2)。 図2 乳児期の百日咳予防のためのワクチン接種 乳児の百日咳  百日咳は百日咳菌の感染で起きる呼吸器感染症で、連続する発作性の咳が特徴です。感染力は非常に強く、新生児から高齢者まで感染するリスクがあります。乳児は重症となり、痙攣、無呼吸、脳症、肺高血圧などを合併し死亡することもあります。特にワクチン接種前の乳児は重症化のリスクが高いと報告されています。  2024年に海外で百日咳の報告数が増加し、米国では6例、英国では11例、中国では23例の乳児の死亡が報告されています。英国では2013年から妊娠中の百日咳ワクチンが推奨されました。2013年からの乳児の百日咳の死亡例は32例で、このうち26例は妊娠中のワクチンを接種していませんでした。  日本では百日咳は2018年から検査診断した全例を報告する制度に変更になりました。乳児と6歳以降の学童期で報告数が増加しています。乳児期はワクチン未接種がほとんどです。6か月未満の乳児は2018年に530例、2019年に711例が報告されました。生後1~2か月に報告例のピークがあり、この月齢の報告例はワクチン未接種です(図3)...